Japan Police Special Weapons And Tactics / Japan Tactical Operators Association

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小火器一覧

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小火器

Small Arms

小火器は、サブ・マシンガン(機関拳銃)やオートマチック・ライフル(自動小銃)など、作戦時において戦闘員 の主要武装である「プライマリー・ウェポン」、オートマチック・ピストル(自動拳銃)など補助武装である 「セカンダリー・ウェポン」の2種類に大別しています。 また、プライマリー・ウェポンには、狙撃要員が装備する高性能スナイパー・ライフル(狙撃銃)なども含まれています。 小火器一覧では、当部隊で制式採用されている小火器の一部を紹介します。

分類 名称・型式 口径
機関拳銃(特殊銃) H&K MP5 9x19mm
機関拳銃(特殊銃) H&K MP5SD 9x19mm
機関拳銃(特殊銃) H&K MP5K 9x19mm
機関拳銃(特殊銃) H&K MP7 4.6x30mm
自動小銃(特殊銃) 豊和89式5.56mm小銃 5.56x45mm
自動小銃(特殊銃) H&K G36C 5.56x45mm
狙撃銃(特殊銃) H&K PSG-1 7.62x51mm
自動式拳銃 H&K USP 9x19mm
自動式拳銃 SIG SAUER P226 9x19mm
回転式拳銃 ニューナンブM60 .38 Special
回転式拳銃 S&W M37 エアウェイト .38 Special

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Primary Weapon / H&K MP5 Submachine Gun

H&K MP5 SMG

世界各国の警察SWATおよび対テロ部隊でも数多く採用実績のあるドイツのH&K(ヘッケラー&コッホ)社製MP5サブマシンガンシリーズは、 発足当初から当部隊における標準武装である。 急襲班および支援班を問わず、基本的に全隊員が装備・習熟している。弾薬口径は拳銃と互換性のある9mmX19パラべラム 普通弾に準拠しており、作動には自動小銃などに用いられる比較的高度なローラーロッキング閉鎖機構を採用しているため、 従来のサブマシンガンとは一線を画する射撃精度を有する。 自動小銃などに比べ小型軽量で閉所空間における取り回しに優れ、さらにダットサイトやスコープなどの各種光学照準器、 ウェポンライトやレーザーサイトなど、各種オプションデバイスの増設が容易なため、CQB(近接戦闘)オペレーション 任務を含む特殊作戦に適したサブマシンガンである。 また、大型の内蔵式サウンド・サプレッサー(銃声抑制器)を標準装備したMP5SDサブマシンガンは、隠密行動が基本となる特殊作戦には必要不可欠な存在だ。 我が国でも警視庁所属の対テロ特殊部隊であるSAT(特殊急襲部隊)や各都道府県警が有する銃器対策部隊、 海上保安庁所属のSST(特殊警備隊)など、殆ど全ての特殊部隊でMP5サブマシンガン・シリーズの採用が確認されている。

当部隊では金属製伸縮式ショルダーストックを装備したMP5A5/SD6と樹脂製固定式ショルダーストックを装備したMP5A4/SD6など数種類を併用している。 なお、フルサイズモデルを短縮軽量化したMP5KA4は、秘匿性を優先するVIP警護任務の他、航空機や住宅家屋など極端な閉所空間におけるCQBオペレーション にて、機動性を優先するポイントマン向けに配備している。

H&K MP5A5

▲当部隊における標準武装であるMP5A5サブマシンガンの標準的なオプションデバイスのセットアップの一例。 CQBオペレーション任務においては最低限のオプションデバイスとして大光量フラッシュライトを装備し、 必要に応じてレーザーサイトやダットサイトなどの各種光学照準器を装備する。

H&K MP5A5

▲警察庁が平成13年度補正予算で計1,379挺を導入した日本警察仕様のMP5サブマシンガン(高性能機関拳銃・特殊銃III型)。 当部隊で使用しているMP5サブマシンガン・シリーズのうち、最も配備数の多いモデルである。 3点バースト射撃機能をもつスタンダードモデルであるMP5A5をベースに、脱着式の大型フラッシュ・ハイダー、 大型化されたラバープレート付きの新型バッドストック、スイスのB&T(ブルッガー&トーメ)社製 ロー・プロファイル・マウントベースなどが標準装備されているのが本銃の特徴だ。 各都道府県警察に所属する一部の銃器対策部隊や特殊急襲部隊(SAT)などでは、ウェポンライトやレーザーサイト など、各種オプションデバイスの増設が容易なモジュラー・ウェポン・システムを装着したMP5サブマシンガン の使用が確認されている。

▲CQBオペレーション任務において、主に部隊の前線に立つポイントマン向けに配備しているMP5KA4 PDW サブマシンガン。MP5サブマシンガン・シリーズの最小・最軽量モデルであるMP5KA4(通称:クルツ)に、 折畳み式のショルダーストックを装備したミリタリーユース向けのPDW(Personal Defence Weapon:個人用自衛兵器)仕様である。 本来は航空機搭乗員の緊急脱出時などにおける軍用のサバイバル・ウェポンとして開発されたPDWだが、小型軽量の本体で操作性や携帯性 に優れるため、対テロ特殊部隊や警察SWATのポイントマンのほか、K-9(警察犬)ハンドラーや要人警護任務など、 各種タクティカル・オペレーターに使用される場合が多い。 我が国でも誘拐事件や人質立て篭もり事件などに対処する警視庁SIT(特殊捜査班)の突入部隊が、 大光量フラッシュライトを装着したSF(シングル・ファイア:単発仕様)モデルのMP5Kを採用しているのが確認されている。 当部隊では、大光量フラッシュライトとHWS(ホログラフィック・ウェポン・サイト)などの各種光学照準器を 装備したモデルを急襲班で運用中だ。

▲大型のサウンド・サプレッサー(銃声抑制器)を標準装備したMP5SD6サブマシンガン。 ハンドガード内部まで延長された大型サプレッサーには通常弾薬を亜音速域まで減速する減圧機能があり、 射撃時は専用の亜音速弾薬を使用しなくても非常に高い静粛性を発揮する。 犯人に存在を察知されない隠密行動が基本となるステルス・エントリーなどで需要が高い。 また、ダイナミック・エントリーが基本となる人質救出作戦などでは、減音効果により犯人に射撃位置を 特定され難くする効果が期待できる。 同時に室内での大音量の銃声は、人質に過大な恐怖と混乱を生むため、人質のパニック行動の抑制にも加味する。 特殊作戦に特化したMP5SDシリーズは、最も軽便で汎用的な高性能サプレスド・ウェポンとして、 世界各国の対テロ特殊部隊や警察SWATで採用されている。 当部隊では、主に金属製伸縮式ショルダー・ストック仕様のMP5SD6および人工樹脂製固定式ショルダー・ストック仕様のMP5SD5の 2種類を急襲班で使用している。 このほか、隠密作戦において、主に50m以下の近距離での対人狙撃や街灯などの照明狙撃に使用する簡易狙撃銃として、 プローン(伏射)姿勢に対応したショートマガジン(装弾数15発)と低~中倍率の着脱式光学スコープを装備したモデルを運用している。


H&K MP5 SMG


H&K MP5 SMG


H&K MP5 SMG


H&K MP5 SMG


H&K MP5 SMG


諸元・性能
種類 特殊銃 / 機関拳銃
型式 MP5A5
弾薬口径 9mmX19
装弾数 30発/15発
全長 約660mm/約440mm
重量 約2,800g
発射速度 800発/分
生産国 ドイツ

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Primary Weapon / H&K MP7A1 Submachine Gun

H&K MP7A1

ドイツのH&K(ヘッケラー&コッホ)社製MP7A1は、抗弾装具に対する貫徹力に優れた独自の小口径高速弾薬を使用する 新世代小型SMGである。 開発当初はベルギーのFN(ファブリック・ナショナル)ハースタル社製P90と並んで、戦闘機などからベイルアウトしたパイロット を対象としたサバイバルウェポンであるPDW(Personal Defense Weapon:個人用自衛兵器)を設計の基本コンセプトとしていた。 そのため、個人携行に優れた小型軽量な本体でありながら、従来のSMGを上回る長射程かつ高威力な 制圧火力を有するという相反する要求が課された。この無理難題な要求を見事に具現化したのが先述のFNハースタル社製P90と H&K社製MP7である。 英国ローヤル・オードナンス社独自開発のMP7専用4.6mmX30弾薬は、P90専用の5.7mmX28弾薬と同様にライフル弾を小型化したボートテイル型の弾頭形状をしており、 弾頭重量は軽量でありながら、発射時の初速は一般的な拳銃弾の2倍以上となる秒速750mを誇る。 これは一般的な軍用小口径ライフル弾の初速に近い。 このため、通常の拳銃弾では対処不可能な200mの射距離でも、一般的に販売されているNIJ規格レベル3A相当の ケブラー繊維製ソフトタイプボディーアーマーや軍用フラグメンテーションプロテクティブ(破片防御)ベスト、 バリスティックヘルメットなど、各種抗弾装具を無力化可能な高い貫徹力を誇る。

H&K MP7A1

優れた貫徹力と射撃精度を有し、ロングマガジン装着時は40発の弾薬が装填可能な火力でありながら、本体重量 やサイズは従来のMP5 SMGを大きく下回る。 レシーバー本体の殆どは剛性の高い各種シンセティック素材(カーボンファイバー混入強化ポリマーなどの人工樹脂)で成型されており、 従来の金属製レシーバーをもつMP5 SMGなどに比べ大幅な軽量化とメンテナンス性の向上に成功している。 片手で楽に扱えるMP7の本体サイズは、空間が狭い航空機内や列車内、車両内での使用は無論、日本の一般的な 住宅家屋のようにMP5 SMGの本体サイズでも取り回しに 苦難するような極端な閉所空間においても、優れた操作性と十分な火力を発揮する。 また、サブマシンガンとしては最小サイズに属しながら、金属製伸縮式ショルダーストックと折り畳み式フォアグリップ を標準装備しているため、射撃時の安定性にも申し分ない。 独自の操作系統を有するP90とは異なり、MP7では従来の普及機種であるMP5シリーズやG36シリーズ、USPシリーズ などと同様の操作系統を踏襲し、 視覚的に認識できるピクトグラムタイプの操作表示を有するファイアー コントロールセレクターやシンメトリーデザインの採用を始めとして、 国籍を問わず多方面に配備可能なユニバーサルデザインモデルとして完成されている。 さらに、本体上部にトップレール、左右側面にサイドレールも装備可能なため、ダットサイトなどの光学照準器の 搭載、ウェポンライトやレーザーサイトなどの各種オプションデバイスのの装着運用が容易である。 なお、MP7の作動機構には同社がMP5シリーズなどで長年得意としてきたローラー・ロッキング閉鎖機構ではなく、 同社のG36シリーズなど現代軍用アサルトライフルで多用されるガス・オペレーテッド方式によるロテイティング・ボルト閉鎖機構 を採用している。 本来、軍用のサバイバルウェポンであるPDWを運用コンセプトして開発されたMP7だが、その世界的需要が低下した現在では CQBオペレーションや要人警護任務に適した基本性能が高く評価され、欧州を中心に世界各国の軍・警察特殊部隊 において採用が増加している。 なお、画像のMP7A1は、開発当初のMP7よりフルオート射撃時の安定性を向上させるため、 ボルトストロークを延長し連射速度を低下させ、その分ストックのバットプレートの厚みを抑えるなど 各所に若干のデザイン変更を行った現行型改良モデルであり、2004年にドイツ連邦軍に制式採用されている。

プライマリーウェポン H&K MP7A1

▲PDW(個人用自衛兵器)の先駆モデルであるMP5KA4 PDW(後方)と後発モデルのMP7A1(前方)の比較。 40連射マガジンを装着したMP7A1(4.6mmX30弾薬準拠)の方が30連射マガジンを装着したMP5KA4 PDW(9mmX19弾薬準拠) よりも全高が小さく一回り小型な印象を受ける。本体重量に関してもスチールフレームのMP5KA4 PDWに比べ、 ポリマーフレームなど各種シンセティック素材を多用したMP7A1の方が1kg近く軽量だ。 MP5KA4 PDWが折畳み式ショルダーストックを装備しているのに対し、MP7A1はスタンダードモデルのMP5A5などと同じく伸縮式ショルダーストック を装備しているため、ショルダーストック収納時はMP7A1の方が本体の厚みの面でよりコンパクトになる。 また、MP5Kシリーズのフォアグリップが固定式なのに対し、MP7A1はワンタッチでフォアグリップが折畳みが可能なため、 要人警護任務などに求められる拳銃に近い形態でのコンシールドキャリー(秘匿携帯)も容易だ。 さらに、専用マウントの装着が必要なMP5Kシリーズに対し、MP7A1は小型軽量な本体ながらも標準でピカティニー規格 20mm幅レールが装備されているため、光学照準器やウェポンライトなど、各種オプションデバイスの運用性も申し分ない。 そして、MP7A1は操作性に優れた小型軽量な本体デザインながら、9mmX19弾薬よりもリコイルの少ない特殊な4.6mmX30小口径高速弾薬 の採用により、多弾数かつ長射程を実現し、ボディーアーマーなど各種抗弾装具に対する優れた貫徹力と射撃精度を有している。 この従来のSMGとは一線を画する特徴が閉所空間におけるCQB(近接戦闘)など、近年の特殊作戦における ニーズと合致し、現在では世界各国の対テロ特殊部隊や警察SWATにおいてもMP7A1の採用が増加している。

プライマリーウェポン H&K MP7A1

▲対テロ特殊部隊や警察SWATが主要任務とするCQBオペレーションにおいては、プライマリーウェポンに最低限の オプションデバイスとして、大出力のタクティカル・ウェポンライトを装着する必要がある。 夜間における戦闘は無論、CQBオペレーションを強いられる建造物などの閉所空間には、日中でも必ず ロウライト・コンディション(低光度条件下)が存在するからだ。 また、タクティカル・ウェポンライトなど大出力のフラッシュライトには、光線を直視した照射対象者への眩惑(目眩まし)効果があり、 効果的にライトテクニックを駆使することで、照射対象者を一時的に行動不能にすることも可能となる。 さらに、射撃の際はウェポンライトの光軸と照準線の方向が同調するため、簡易的なポインターとして瞬間的な照準補助の 機能も期待でき、CQBオペレーションにおいて特に求められる射撃レスポンスタイムの短縮化にも加味する。 画像のMP7A1には、光学照準器としてナイトビジョンデバイス(暗視装置)対応モードを備えるEOTech社製 XPS3 HWS(ホログラフィック・ウェポン・サイト)、タクティカル・ウェポンライトとして、ハンドガン向けの 軽量コンパクトモデルであるITI社製 M3 LED-IR(暗視装置用赤外線補助光照射モデル)タクティカルイルミネーターを装着している。

プライマリーウェポン H&K MP7A1

▲スコープマウントやサプレッサーなど、特殊部隊向けガンアクセサリーの製造で有名なスイスB&T(ブルガー&トーメ)社製“HK MP7 Rotex-II”サウンド・サプレッサー(銃声抑制器)を装着したMP7A1。 MP7シリーズ専用に設計された本サプレッサーは、装着方式として一般的なマズルへのネジ込み式スクリュータイプではなく、 ロータリーロックとディテインスライド機構によって、フラッシュハイダーに直接装着するQD(クイック・デタッチャブル)タイプを採用しているため、 ワンタッチでサプレッサーの着脱が可能だ。本体はアルミニウムとステンレススチール製で重量約590g、全長は約220mm。 サプレッサーを装着しない場合に比べ、サプレッサー装着時は通常弾薬射撃時で約31デシベル、専用のサブソニック(亜音速)弾薬射撃時は38デシベルの減音効果を発揮し、 MP7と共に各国の軍・警察特殊部隊で運用されている。



当部隊では発足当初から、CQBオペレーション向けに9mm拳銃弾に準拠したMP5サブマシンガンを標準装備としてきたが、 近年のテロリストや犯罪者の重武装化の傾向から、MP5サブマシンガンの後継として抗弾装具を無力化可能なモデルの 選考を行った。そしてCQBオペレーション向け小型オートマチックライフルとしてG36Cを選定し、CQBぺレーション向け 小型サブマシンガンとしてMP7A1を選定するに至った。いずれも製造販売元はH&K社であり、基本性能の高さや信頼性、 アフターサービスの充実度を勘案した結果だ。 現在、MP7A1はG36Cと共に一部の急襲班で性能評価のため、試験導入中である。

諸元・性能
種類 特殊銃 / 機関拳銃
型式 MP7A1
弾薬口径 4.6mmX30
装弾数 40発/20発
全長 約630mm/約410mm
重量 約1,800g
発射速度 850発/分
生産国 ドイツ

JP-SWAT

Primary Weapon / Howa Machinery Type 89 Automatic Rifle

豊和工業 89式5.56mm小銃


89式5.56mm小銃は、防衛省・自衛隊において1989年より制式採用されている戦後国産第2世代の軍用自動小銃であり、 名古屋市の豊和工業株式会社で製造さている。 現在NATO(北大西洋条約機構)加盟国を始めとした西側各国で主力弾薬となっている5.56mmX45小口径高速弾に準拠している。 1960年代以降、早くも西側各国で5.56mm小口径高速弾対応の新世代アサルトライフの採用が拡大する中、旧式となった 国産第1世代の64式7.62mm小銃の後継機種として開発がスタートしたのが後の89式小銃だ。 豊和工業株式会社と旧防衛庁技術研究本部が設計製造を担当した。 従来の64式小銃が金属部品や木製部品を多用し、部品点数の多い複雑な設計であるのに対し、89式小銃は 同時期に米軍で既に採用されていたM16シリーズに倣い、ショルダーストックやグリップ、ハンドガードなど、 随所に樹脂製のシンセティック素材を採用したことで、軽量化と部品点数の削減を図った近代的な設計となった。 また、あわせて金属製レシーバー本体もスチールプレス成型の工法を多用し、量産性の向上を目指した。


豊和工業 89式5.56mm小銃

作動機構には現代の軍用アサルトライフルとしては最もオーソドックスなガス・オペレーテッド(ガス・ピストン)方式の ロテイティング・ボルトによる閉鎖機構を備えている。 89式小銃専用の残弾確認孔付き金属製マガジンは、米軍のM16/M4を始めとしたNATO加盟国の5.56mmNATO弾薬に準拠 したアサルトライフルと完全互換性があり、米軍との共同作戦時などにおける相互運用性を確保している。 旧式の64式小銃は固定式バイポット(2脚)が装備されていたが、これを引き継ぐ形で金属製の着脱式バイポット を標準装備しているのも89式小銃の特徴のひとつだ。 これは専守防衛という日本独自の防衛戦略に基づく、銃器哲学の特徴として陣地防衛時の遠距離射撃精度と 連射時の安定性を優先した結果といえる(スイスのSIG 550アサルトライフルなども同様の設計コンセプトに基づく)。 また、89式小銃は小柄な日本人が扱うことを意識し、全体にコンパクトな設計にまとめられており、 米軍のM16など諸外国のアサルトライフルと比較すると約10cm程度全長が短く、どちらかと言えば米軍のM4など 特殊部隊向けのカービン銃に近いサイズである。 9.11世界同時多発テロ事件が発生し、国際テロリズムの危険性が増した2000年代以降、陸上自衛隊の一般普通科部隊に おいても都市部でのテロ発生に備え、市街地戦闘訓練が実施されるようになった。 元来、基本的に野戦のみを想定していた89式小銃の運用に、新たに閉所空間における近接戦闘(CQB)任務が加わったのである。 幸いにも先述したように89式小銃は元々アサルトライフルとしては、カービン銃に近いサイズだったため、 市街地戦闘訓練においても運用上の問題は少ないようである。 ただし、即応性に欠ける右側ファイヤー・コントロール・セレクターの問題やCQB任務に不可欠なダットサイトなどの 各種光学照準器、ウェポンライトやレーザーサイトなど、各種オプションデバイスの運用性に乏しいなど、 そもそも特殊作戦向けの設計ではないという基本的な問題も存在している。 この問題に関しても左側セレクターの追加や簡易的なレールシステムの増設などにより、現場レベルで対応しているため、 今のところ特殊部隊レベル(海上自衛隊の対テロ特殊部隊である特別警備隊:SBUでプライマリーウェポンとして使用が確認されている)のCQB任務での運用でも致命的な問題はないようである。 国産唯一の最新軍用自動小銃であるため自衛隊のみならず、海上保安庁の特別警備隊や特殊警備隊(SST)、 警察の特殊急襲部隊(SAT)など、国内の各種公安機関でも採用されている。

当部隊では発足当初から、CQBオペレーション向けに金属製折り畳み式ショルダーストックを装備した折曲銃床仕様 (自衛隊における空挺部隊仕様)を主に導入しているが、初期に試験導入した樹脂製固定式ショルダーストックを 装備した固定銃床仕様も少数併用している。 現在、急襲班ではMP5サブマシンガンと89式小銃のハイローミックス運用が主体となっている。


豊和工業 89式5.56mm小銃


豊和工業 89式5.56mm小銃


豊和工業 89式5.56mm小銃


豊和工業 89式5.56mm小銃


諸元・性能
種類 特殊銃 / 自動小銃
型式 89式5.56mm小銃
弾薬口径 5.56mmX45
装弾数 30発/20発
全長 約920mm/約670mm
重量 約3,500g
発射速度 850発/分
生産国 日本

JP-SWAT

Primary Weapon / H&K G36C Automatic Rifle

H&K G36C

ドイツのH&K(ヘッケラー&コッホ)社製G36Cは、軍用自動小銃であるG36アサルトライフル・シリーズを 特殊部隊向けに短縮軽量化したコンパクトモデルである。 ベースとなったG36アサルトライフルは、旧西ドイツ軍の制式採用小銃であった7.62mX51弾薬準拠のH&K社製G3 アサルトライフルの後継機種として、東西冷戦終結後の1996年に現ドイツ連邦軍に制式採用された5.56mmX45 小口径高速弾準拠の次世代軍用アサルトライフルである。 G36の最大の特徴は、レシーバー本体に加え特徴的な折り畳み式ショルダーストックや半透明マガジンなど、 機関部を除く外装の構成部品の殆どが、生産性が高く耐久性に優れた各種シンセティック素材 (主にファイバー強化ポリマー樹脂)で構成されている点だ。 また、樹脂製部品を多用した先進的な外装設計の一方で、作動機構には従来同社がG3やHK33などの看板 アサルトライフルで得意としてきたローラー・ロッキング閉鎖方式の採用をやめ、上記の89式小銃などと 同じくコンベンショナル・アサルトライフルとしては最もスタンダードなガス・オペレーテッド方式の ロテイティング・ボルトによる閉鎖機構を採用している。 これはローラー・ロッキング閉鎖方式がガス・オペレーテッド方式に比べて、ガス・シリンダーやガス・ピストン などの部品を使用しない分、本体を小型化できるメリットがある一方で、機関部の構造が複雑になり、過酷な戦場 での耐久性や製造コストの面でデメリットを勘案した結果である。

H&K G36C

結果としてこの冒険心を抑えたシンプルな設計は成功を収めた。樹脂製部品を多用したことにより生産性や耐久性、メンテナンス性は向上し、また信頼性の 高いガス・オペレーテッド方式の機関部を採用したことで、砂漠や泥中など現代の軍用アサルトライフルに要求される 過酷な環境下においても申し分ない作動安定性を発揮した。 1996年のドイツ連邦軍での制式採用後、このG36をベースに銃身長の短縮と軽量化を図ったり、ドラムマガジンの 運用を前提とした分隊支援火器仕様など、旧来のG3シリーズなどと同じく基幹部品の共通化を図ったシステム・ウェポン として幅広いバリエーション展開が成され、欧州各国軍を始めとして世界各国の軍・準軍事組織・警察機関向けに輸出されている。

なかでも特殊部隊向けに開発されたG36C(Compact)はシリーズ中、最短最軽量のコンパクトボディを有し、 各国の警察SWATや対テロ部隊でも数多くの採用実績がある。 一般的なソフトアーマータイプの抗弾装具を無力化できる長射程かつ高威力の5.56mmX45小口径高速弾に準拠しながら、 フルサイズのMP5サブマシンガンとほぼ同等の重量とサイズを有するため、通常の軍用カービンモデルよりもCQB オペレーションにおける適応性が高いためである。 また、本体上面のキャリングハンドルにはダットサイトなどの光学照準器とナイトビジョン(暗視装置)のタンデム運用 を考慮したロングタイプの20mm規格ピカティニーレールが標準装備されており、さらにハンドガード 側面と下面の3個所にもレールを標準装備しているため、ウェポンライトやレーザーサイトなどのCQBオペレーション向け 各種オプションデバイスの運用も容易である(近年ではアップグレードパーツとしてG36シリーズ向けのモジュラー・ウェポン・システム も販売され、さらに発展拡張性が高まっている)。 信頼性に優れた独自の樹脂製半透明マガジン(装弾数30発)は、射手から一見して残弾の確認が容易なうえ、クリップなど の専用器具なしで複数のマガジンを連結保持可能な設計となっている。 ボルト・グループに直結したチャージング・ハンドルやボルト・リリースレバー、セーフティー兼用の ファイヤー・コントロールレバーなど、操作系は全て左右対称のシンメトリーデザインを採用しており、右利き 左利きの射手を選ばず、CQBテクテックで必須のスイッチング動作にも対応している点もCQBオペレーターなどに 好まれる理由である。 特にグリップアングルやピクトグラム表示のファイヤー・コントロールレバーなど、全体のデザインは同社の ベストセラーモデルである MP5サブマシンガンの操作性を踏襲しており、MP5との併用や後継機種として導入に抵抗が少なく、既にMP5を採用していた 対テロ部隊や警察SWATでの採用が数多く見受けられる。

H&K G36C

▲当部隊におけるG36Cの標準的なオプションデバイスのセットアップ例。アッパーレシーバー上部の キャリングハンドルを兼用したサイトブリッジには、照準線をフルカバーするピカティニー規格20mm 汎用ロングレールが装備されており、ダットサイトやナイトビジョン(暗視装置)のタンデム装着運用など、 各種光学照準器の特殊作戦向けセットアップが容易だ。また、フロント部分のハンドガードにも、 左右と下部にピカティニー規格20mm汎用レールが装備されており、大出力ウェポンライトやレーザーサイトなど、 CQBオペレーション向けオプションデバイスが装着可能である。 汎用レールシステムが標準装備されたことで、オプションデバイスの拡張運用性の高さは、従来のMP5 SMG より格段に向上している。 セットアップ例では、光学照準器としてナイトビジョン対応モードを搭載したEOTech社製モデル552 HWS (ホログラフィック・ウェポン・サイト)、フロント部分にはバーティカルフォアグリップとフラッシュライト の機能を一体化した SUREFIRE社製M900Aタクティカルウェポンライト 、同じくSUREFIRE社製L72可視光赤色レーザーサイトモジュールを装着している。

H&K G36C

▲対テロ特殊部隊で好まれる伸縮式ショルダーストックを装備したMP5A5(左)と折畳み式ショルダーストックを 装備したG36C(右)。G36シリーズは、グリップアングルやピクトグラム図案表示のファイヤー・コントロールレバー など、全体の基本デザインは従来のMP5シリーズおよびUMPシリーズを踏襲しており、新規採用でも違和感は少ない。 特に特殊部隊向け最小コンパクトモデルであるG36Cは、スタンダードモデルであるMP5A5と ほぼ同等の全長と重量ながら、MP5 SMGで使用される9mmX19拳銃弾より、圧倒的に高威力かつ長射程な5.56mmX45 小口径高速弾に準拠している。 近年、オートマチックライフルや抗弾装具をもつ重武装のテロリストを相手とする状況では、元来対テロ特殊部隊の プライマリーウェポンであるMP5 SMGでは、射程や抗弾装具に対する貫通力の面で力不足となった。 G36Cは軽量かつ高強度のエンジニアリングプラスチックをフレームや機関部などに積極的に多用することで、 高威力のライフル弾に準拠していながら本体の軽量化を実現し、MP5 SMGと比較してもCQB オペレーション任務における操作性は申し分ない。 また、ライフル弾の弾道安定性を確保するうえで限界に近い9インチという極めて短い銃身長でありながら、 過酷な環境下における十分な作動安定性を発揮し、実射時は50mの射距離で10cm以下というグルーピング(集弾性)の高さを誇る。 凶悪化するテロリズムに対する戦術的優越性を確保するうえで、 今後はG36CのようなCQBオペレーション任務向けコンパクトライフルが対テロ特殊部隊や警察SWATの プライマリーウェポンとして、さらに普及していくだろう。

当部隊では、発足時から5.56mm弾薬準拠のオートマチックライフルとして89式小銃を運用してきたが、近年の犯罪者やテロリストの重武装化 の趨勢に合わせ、より高威力でCQBオペレーションに適したモデルを選考した結果、同じH&K社製で主要武装であるMP5サブマシンガン と操作性に共通点が多く、基本性能に高い定評のあるG36Cを採用することとなった。現在、一部の急襲班で性能評価のため 試験導入中である。なお、CQBオペレーションにおいては現行運用の89式小銃との代替を検討しているが、2脚が標準装備 でG36Cより銃身長が長い89式小銃は、今後も後方支援火器として継続運用を予定している。

諸元・性能
種類 特殊銃 / 自動小銃
型式 G36C
弾薬口径 5.56mmX45
装弾数 30発
全長 約720mm/約500mm
重量 約2,800g
発射速度 750発/分
生産国 ドイツ

JP-SWAT

Primary Weapon / H&K PSG-1 Automatic Sniper Rifle

H&K PSG-1

ドイツのH&K(ヘッケラー&コッホ)社製PSG-1は、警察対テロ特殊部隊向けに開発されたセミ・オートマチック方式の 高性能狙撃銃である。一般的なボルト・アクション方式の狙撃銃に匹敵する優れた射撃精度を有し、現代の セミ・オートマチック方式の狙撃銃を代表する傑作モデルとして名高い。 欧州にテロリズムの嵐が吹き荒れた1970年代、これに対処するため欧州各国に対テロ特殊部隊の創設が相次いだ。 旧西ドイツでは、後に世界へ勇名を馳せる警察対テロ特殊部隊としてGSG-9(旧国境警備隊第9部隊)が創設され、 自国のH&K社が開発した当時最新鋭のMP5サブ・マシンガンを世界で初めて実戦運用するなど、 国産銃器メーカーとして同社はGSG-9と密接な関係を築いていた。 そして数々の対テロ作戦の実戦経験を踏まえたGSG-9は、対テロ特殊作戦に特化したセミ・オートマチック方式の 新型狙撃銃の開発を国内銃器メーカーに要求した。 この要求に応えてH&K社が開発したセミ・オートマチック狙撃銃がPSG-1(プレシジョン・シュッツェン・ゲベール1型)である。
第2次世界大戦後、各国歩兵のボルト・アクション方式ライフルが軽量・全自動化され、現代のアサルト・ライフル(突撃銃)が 誕生した。しかし、一発必中の高い射撃精度を要求する狙撃銃には、構造が単純で大口径弾薬を使用しても 射撃精度の安定した昔ながらのボルト・アクション方式が好まれ続けた。 アサルト・ライフルが各国に普及した1970年代当時でも、軍用・警察向けを問わず狙撃銃としては手動装填による単発式 のボルト・アクション方式が一般的であった。 現在でも軍用狙撃銃としては、構造が単純で戦場の過酷な環境下でも高い信頼性と射撃精度を有する ボルト・アクション方式の採用が一般的である。 しかし、市街地での活動が主体となる警察対テロ特殊部隊では、軍用ほどの耐久性や可搬性は要求されず、 それよりもセミ・オートマチック方式による速射性の高さが優先される場合が多い。 対テロ特殊部隊の狙撃主が主に相手とするのは、人質を盾にして建造物や航空機・車両などの乗り物に立て篭もったテロリストである。 非武装の要人暗殺などとは異なり、テロリストは人質に銃を向け武装しているため、初弾を外せば逆上したテロリストが 人質に危害を加える可能性が高い。 対テロ特殊部隊の狙撃主には、軍隊以上に一発必中の射撃精度が要求されるのだ。 セミ・オートマチック方式の狙撃銃であれば、ボルト・アクション方式のように手動の装填排莢のロスタイムがなく、 速やかに標的へセカンド・ショットを与えることが可能である。

H&K PSG-1

H&K社では旧西ドイツ軍向けに同社が開発した7.62mmX51弾薬準拠のG3アサルト・ライフルをベース にして、PSG-1の開発が進められた。 基本的な構造はG3と同じく、H&K社が得意とするローラー・ロッキングによる閉鎖システムを組み込んだ ディレード・ブローバック(時差ブローバック)方式を採用している。 同様にハンドガードやショルダーストックなどもG3と同じ、ファイバー強化ポリマーなどの各種シンセティック素材 で形成されており、ショルダーストックに付属しているバットプレートの長さやチークピースの高さは 射手の体格に合わせて調整が可能だ。 また、マガジンもG3シリーズと共用で、PSG-1向けのショートマガジンで5発、G3向けの標準マガジンを装着すれば 最大20発の火力を発揮することが可能である。 西側各国の狙撃銃でスタンダード・カートリッジとなっている7.62mmX51 NATO弾薬に準拠しており、銃身長650mmで 有効射程は最大800m程度である。 GSG-9での制式採用後、これに倣い各国の警察対テロ特殊部隊でも採用が相次いだ。 PSG-1は、少量生産かつ複雑な製造行程を経るため単価が非常に高く、同じ警察特殊部隊でも予算の限られた米国の警察SWATなどでの 採用は限定的で、比較的予算の潤沢に与えられた第一線の対テロ特殊部隊に積極採用されることが多かった。 一方、高性能ではあるものの単価が高く、重量が8kg近くあるため、PSG-1がミリタリーユースに大量採用されることは稀であった。 このため、ミリタリーユース向けにPSG-1をベースに改良を施した派生モデルとして後にMSG-90 (ミリタリッシュ・シュッツェン・ゲベール90型)が開発されている。 MSG-90は、グリップ・フレームやショルダー・ストックなどを簡素化、またバレルを短縮・軽量化することで全体重量 をPSG-1より2kg近く軽量化している。 また、PSG-1では半固定式だった光学スコープを着脱式に改め、軍用に要求される野戦での可搬性を高めており、 同時にナイト・スコープ(暗視装置)の運用も可能とした。 MSG-90は後にアメリカ軍の特殊部隊を始め、各国のミリタリーユースで採用されている。 さらに、隣国韓国のKNP-SWAT(韓国警察特攻隊)のように、従来PSG-1を採用していた警察対テロ特殊部隊でも、 単価が安く可搬性に優れるMSG-90への更新を行う場合が多い。


H&K PSG-1


当部隊では発足当初より、通常のボルト・アクション狙撃銃に加え、唯一のセミ・オートマチック狙撃銃として PSG-1を制式採用しているが、基本設計から30年以上が経過しているモデルのため、ナイト・スコープや IR(赤外線)レーザーなどの各種オプション・デバイスの運用性に乏しく、現在は新型の後継機種の導入も検討している。 なお、当部隊の狙撃班は狙撃手と観測手の二人一組での作戦行動を基本としているが、当部隊では狙撃主単独 での作戦行動も想定訓練しており、人質救出作戦や要人警護など様々な任務に対応している。

諸元・性能
種類 特殊銃 / 狙撃銃
型式 PSG-1
弾薬口径 7.62mmX51
装弾数 5発/20発
全長 約1230mm
重量 約8,000g
発射速度 単発
生産国 ドイツ

JP-SWAT

Secondry Weapon / H&K USP Automatic Pistol

H&K USP

ドイツのH&K(ヘッケラー&コッホ)社製USPは、1993年に発表された現代を代表する軍用大型自動式拳銃である。 1990年代初頭、米軍のSOCOM(スペシャル・オペレーション・コマンド:特殊作戦統合軍)主導でトライアルが行われていた 特殊作戦向けオフェンシブ・ハンドガン(攻撃型拳銃)の研究開発と並行して、 一般市場販売向け次世代拳銃であるUSPの開発が進められた。 後にMK23として米軍に制式採用された俗称“ソーコムピストル”の基本デザインと驚異的な基本性能は、 並行開発されたUSPにも余すことなく引き継がれることになった。 “USP”は“ユニバーサル・セルフローディング・ピストル”の略称で、その名の通り基本設計は世界共通に 誰もが簡単に扱える普遍的な自動式拳銃を目指したユニバーサル・デザインがコンセプトである。 そのため軽量で先進的な合成樹脂製のポリマーグリップフレームを備えながら、撃発機構には長年成熟 され使い慣れたハンマー露出式のコンベンショナル・ダブルアクションのトリガーメカニズム、閉鎖方式にも 伝統的なティルト・バレルによるショートリコイル方式を採用している。 硬質強化ポリマーフレームにオーソドックスな成熟されたメカニズムを搭載したUSPは、例にもれず軍用拳銃 に要求される高い堅牢性と信頼性を十分に満たす基本性能を発揮した。

H&K USP

セーフティーレバーとデコッキングレバーが兼用されたコントロールレバーやスライド・リリースレバーなど、 USPの操作系デザインは米軍での使用を前提として並行開発をしたMK23の影響を受け、コルト社製M1911系列 を意識したものとなっている。 このコントロールレバーは、射手の利き手に応じて左右の付け替えが可能であり、同様にマガジンキャッチは左右 どちらからでも操作可能なアンビ仕様だ。マガジンはグリップフレームの素材と同様に硬質強化ポリマー製であり、 大変軽量である。 さらにウェポンライトモジュールの運用を前提としたMK23の影響を受けた結果、USPのグリップフレーム先端部には 世界で初めてオプションデバイス対応のアクセサリーレール(フレームスロット)が標準装備された。 2000年代以降に設計された拳銃の殆どはピカティニー規格対応の20mmレールを標準装備とするのがトレンドとなったが、 この潮流に先鞭を着けたUSPのフレームスロットはH&Kの独自規格のため、USP専用に販売されたライト (ITI社製M2/UTLやSUREFIRE社製ウェポンライト)しか直接装着できない。 大型のセーフティーレバーやスライド・リリースレバーなどは、厚手のタクティカルグローブを装着した際でも、 確実な操作を可能としている。また、他の機種に比べやや大型のグリップやトリガーガードは、 手の小さい日本人が素手で扱うには多少扱い難い場合もあるが、タクティカルグローブを装着した際の グリップ安定感や操作性の高さは秀逸であり、完全武装のCQBオペレーターには大変扱いやすい。 優れた基本性能を有するUSPは、P8の制式名称でドイツ連邦軍に採用され、多くの各国軍隊でも採用されている。 さらに、同じくH&K社製のMP5サブマシンガンなどを運用してきた機関には導入が比較的容易ということから、 既にMP5サブマシンガンの採用実績のある各国の対テロ特殊部隊や警察SWATで積極採用される例が多い。 我が国でも警視庁所属の対テロ特殊部隊であるSAT(特殊急襲部隊)での制式採用が確認されている。 1993年のUSPスタンダードモデルの発表後、銃身長と本体サイズを短縮したコンシールドキャリー用の コンパクトモデルであるUSP COMPACT、サウンドサプレッサーの運用を前提とした特殊部隊向けモデル であるUSP TACTICAL、ロングバレルを搭載し射撃精度を高めた競技向けモデルであるUSP EXPERT/USP MATCH など、数種類のシリーズ展開を図っている。 また、これらのモデルは基本的に軍用・欧州市場向けの9mmX19弾薬と、主に北米市場向けの40S&W・45ACP弾薬 の3種類の口径に準拠したモデルが用意されており、顧客の要望に応じセーフティー機能やトリガーメカニズム別に分類化 された9種類のヴァリアントを含めると非常に幅広いバリエーション展開となっている。

当部隊ではプライマリー・ウェポンであるMP5サブマシンガンとの弾薬の相互運用性を鑑み、セカンダリーウェポン として9mmX19弾薬準拠のUSP(弾倉装弾数15発)を制式採用した。 なお、性能評価のため少数試験導入した40S&Wおよび45ACP対応モデルのUSPも予備装備としてモスボールしている。 また、USP導入当初からウェポンライトとしてUSP専用設計の米国ITI社製M2/UTLもセットで運用しているが、 近年の最新モデルに比較すると性能の面で見劣りする点もあるため、現在ではUSPのレール部分に 専用レール・インターフェース・アダプターを介して、より高性能なウェポンライトも併用可能としている。


H&K USP

諸元・性能
種類 自動式拳銃
型式 USP
弾薬口径 9mmX19
装弾数 15発
全長 約194mm
重量 約740g
生産国 ドイツ

JP-SWAT

Secondry Weapon / SIG SAUER MODEL P226 Automatic Pistol

SIG SAUER MODEL P226

1980年代に発表されたSIG SAUER モデルP226は、ドイツのザウアー&ゾーン社が製造する現代を代表する軍用自動式拳銃である。 その優れた耐久性・射撃精度から、現代軍用自動式拳銃のひとつの到達点と名高い傑作モデルであり、世界各国の軍・警察 組織を始めとして、常に最高品質を要求する対テロ特殊部隊や警察SWATでも数多く採用されている。 1970年代にスイス軍向けの9㎜口径(9mm×19)大型軍用ピストルとしてスイスのSIGアームズ (現スイスアームズ)社 が開発したP220は、従来スイス軍で採用していた旧型のP210の生産性を向上するために再設計されたモデルだ。 従来主流だった手動の切削加工を改め、コンピュータ制御による自動切削加工の導入により生産効率と加工精度の 向上に成功した。また、生産性の高いプレス加工のスライドや軽合金製のグリップフレームを導入し、 当時としては非常に先進的で優れた基本設計を有していた。

SIG SAUER MODEL P226

その後、各社から登場する現代軍用スタンダード・ピストルの先鞭とも言うべき存在であった。 現代軍用拳銃としてはスタンダードなティルト・バレル方式のロッキングシステムを備え、 ハンマー露出式のダブル・アクション撃発機構を備えているP220には直接的なセーフーティー機構が存在していない。 その代わりとして安全にハンマーダウン(デコッキング操作)が可能なデコッキングレバーが備えられており、 薬室装填状態でもデコッキング操作を行うことで、安全な携行と即応性の高さを両立しているのが特徴だ。 1980年、アメリカ軍の次期制式ピストルのトライアルに向け、P220の発展型として新たに開発されたP226は、 撃発機構などP220の基本的構造を 踏襲しながら装弾数を増すためにダブル・カラム・マガジン(複列弾倉) を採用し、 マガジンキャッチボタンの配置なども従来の グリップ底部からグリップ側面に移り、片手でも操作可能なより実戦的な仕様に改められた。 ミリタリーユースのピストルに要求される耐久性や命中精度、迅速な射撃を可能にした高い操作性など、 その秀逸性は他のスタンダード・ピストルとは一線を画している。 しかし、その高い信頼性を生み出すために自動切削装置の導入など、精緻な製造技術を必要とするP220やP226は、 他の スタンダード・ピストルより販売価格が比較的高額であり、本来の開発目的であったアメリカ軍の次期 制式採用ピストルの座も逃してしまった。 日本の自衛隊ではP220が制式採用されたが、自衛隊のように大規模な正規軍が全軍配備のサービス・ピストルとして 採用することは稀である。 一方、一級の兵器を必要とし予算が潤沢に与えられる特殊作戦部隊などでは、その信頼性の高さから 最も好んで使用される自動拳銃の一つであり、全軍配備を逃したアメリカ軍においても陸軍および海兵隊では M11、海軍のSEALs(海軍特殊作戦部隊)ではMk24の名称で制式採用されている。 さらに、P226をベースとして弾薬口径の多様化や小型短縮化など、ユーザーのニーズに応じた仕様の異なる 幅広いシリーズ展開が成されており、米国のCIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)を 始めとした 各種ロー・エンフォースメント(法執行機関)に制式採用されている。 特にピストルのみに命を預ける捜査官や警察官からの人気は圧倒的であり、警察SWATなどのロー・エンフォースメント 所属の特殊部隊からの信頼も非常に厚い。 また、2000年代に入るとCQB(近接戦闘)が重要視される特殊作戦の趨勢に対応して、ウェポンライトや レーザーサイトなど、CQBオペレーション向け各種オプションデバイスを装着可能なレールシステムを 標準装備した新型のP226も登場している。 日本国内でも自衛隊によるP220の制式採用のほか、警察に所属する特殊急襲部隊(SAT)や 海上保安庁の特殊警備隊(SST)、海上自衛隊の特別警備隊(SBU)など、 国内の殆どの対テロ特殊部隊において、MP5サブマシンガンや89式小銃に代わるセカンダリー・ウェポン として、P226や小型短縮モデルであるP228の使用が確認されてる。

SIG SAUER MODEL P226


当部隊ではプライマリー・ウェポンであるMP5サブマシンガンとの弾薬の相互運用性を鑑み、セカンダリーウェポン として既に採用していた9mmX19弾薬準拠のH&K社製USPに加え、同じ9mm口径のP226(弾倉装弾数15発)も制式採用している。 USPはCQBオペレーションに適した大型のゆとりのあるデザインが特徴的だが、任務の内容によっては使い難い場合がある。 また、消耗交換部品の多い拳銃などは1種類のモデルの採用のみに限定すると、万一大量の製品不良箇所が発生した場合に 運用上の支障をきたす場合が多い。 そこで、当部隊ではUSPと同様以上の基本性能を有し、ハンマー露出式ダブル・アクション撃発機構や 操作性に共通点の多いP226を制式採用することとなった。 なお、当部隊で採用しているP226は最新のレール仕様が殆どである(試験導入されたノーマルフレーム仕様も一部 運用している)。ノーマル状態でのオプションデバイスの運用性の高さは独自規格のレールをもつUSPより、 レール標準装備のP226の方が優れている。 現在は作戦任務の内容やオペレーターの好みに応じて、この2種類のモデルからセカンダリー・ウェポンを選択可能である。


SIG SAUER MODEL P226

▲レールシステムを介してレーザーサイト兼用の大光量フラッシュライト(ITI社製M6X)を装着したモデルP226ピストル。 野戦など従来の伝統的な戦闘とは異なり、CQBオペレーションにおいて拳銃は単なるセカンダリー・ウェポンとして の役割だけでなく、時にプライマリー・ウェポンとして積極的に活用される場合も多い。 航空機や船舶、列車や車両などサブマシンガンのサイズでも取り回しに苦慮するような極端な閉所空間における戦闘、 防弾シールドを持ち片手しか使用できないシールドマンなどにとって、高性能な拳銃は有力な攻撃手段となる。 このような場合、低光度環境に対応するためプライマリー・ウェポン同様、拳銃にも最低限のオプションデバイスとして 大光量フラッシュライトを装着することが求められる。

諸元・性能
種類 自動式拳銃
型式 P226
弾薬口径 9mmX19
装弾数 15発
全長 約190mm
重量 約845g
生産国 ドイツ

JP-SWAT

Secondry Weapon / New Nambu M60 Revolver

New Nambu M60

ニューナンブ M60は、我が国のミネベア株式会社(旧新中央工業と合併)が製造した純国産の38口径官用回転式拳銃(リボルバー)である。 戦後、警察官や皇宮護衛官など国内の司法警察職員向け官用拳銃の大量供給の需要が高まったことから、1951年から新中央工業において設計が開始され、 1960年に警察庁に制式採用された。警察庁の採用年からM60の名称が冠されている。 基本的なデザインや構造は、米国のS&W(スミス&ウェッソン)社が1950年に開発した傑作小型回転式拳銃であるM36チーフス・スペシャルを参考にしており、 作動方式はシングルアクションとダブルアクションの両方で射撃ができるコンベンショナル・ダブルアクション方式で、 弾倉振出式(スイングアウト)を採用、弾倉の回転方向もM36と同じ左回転(反時計回り)だ。回転弾倉には.38 Special(スペシャル)弾を5発装填できる。 銃身長ごとに77mm(3インチ)銃身型と51mm(2インチ)銃身型の2種類の派生型が存在し、当初携帯性に優れた51mm銃身型は幹部用などと呼称され、 幹部や私服捜査員を中心に貸与されていたとされるが、後述の51mm銃身を有するS&W M37の採用以降、特に区別なく通常の制服警察官でも51mm銃身型のM60を使用している。 一般司法警察職員である各都道府県警察の警察官のほか、特別司法警察職員である皇宮警察本部の皇宮護衛官、海上保安庁の海上保安官、法務省の刑務官、 厚生省(現厚生労働省)の麻薬取締官などの所属する各官公庁においても幅広く配備された。 また、特殊急襲部隊(SAT)のように自動式拳銃の配備されていない各都道府県警察警備部機動隊に所属している銃器対策部隊などでは、 特殊銃(H&K社製MP5高性能機関拳銃)と共にニューナンブM60やM37などの回転式拳銃がセカンダリーウェポンとして採用されている。 1990年代後半まで30年間近くも生産が継続されたM60だが、後継のS&W M37(エアーウェイト)及びM360J(サクラ)の制式採用に伴い、 全国の都道府県警察では耐用年数を過ぎたM60から順次更新が開始されており、更新開始から10年以上が経過した現在では第一線においてM60の姿を見ることは非常に少なくなった。


当部隊においては発足当初から主に射撃訓練用にM60を運用しているが、銃身長が長く自動式拳銃に比べて命中精度の高い77mm銃身型は、一部の特殊作戦で使用される場合もある。 携帯性に優れた51mm銃身型は、秘匿性の優先される私服での警戒警護任務などにおいてCCW(コンシールド・キャリー・ウェポン)として運用していたが、 より軽量で小型のS&W M37の採用に伴い、現在ではCCWとしては主にM37が使用される。 なお、耐用年数の過ぎた機種から用途廃止とし、順次後継機種へ更新中であり、当部隊において現用のM60は極少数である。

諸元・性能
種類 回転式拳銃
型式 M60
弾薬口径 .38 Special
装弾数 5発
全長 198mm(77mm銃身型)
重量 685g(77mm銃身型)
生産国 日本

JP-SWAT

Secondry Weapon / Smith & Wesson Model 37 Airweight Revolver

New Nambu M60

S&W M37エアーウェイトは、米国の名門銃器メーカーであるS&W(スミス&ウェッソン)社が製造する38口径の小型回転式拳銃(リボルバー)である。 M37は1950年にS&Wが開発した傑作小型回転式拳銃であるM36チーフス・スペシャルの軽量化モデルであり、フレームの材料にアルミニウム合金を採用し、 極限まで軽量化を図っている。同クラスの38口径回転式拳銃と比較しても圧倒的な軽さを誇り、 空気のように軽いという比喩からメーカーはM37シリーズに“エアーウェイト”の製品名を冠している。 作動方式はシングルアクションとダブルアクションの両方で射撃ができるコンベンショナル・ダブルアクション方式で、 弾倉振出式(スイングアウト)を採用、弾倉の回転方向もM36と同じ左回転(反時計回り)だ。回転弾倉には.38 Special(スペシャル)弾を5発装填でき、 小型のグリップを把持しやすいようにグリッピング性能に優れたアンクルマイク社製のラバーグリップが装備されている。 銃身長は携帯性に優れた51mmで、小型軽量な特徴から米国では主に警察官などの法執行関係者が秘匿捜査やオフデューティー(非番)用のCCW(コンシールド・キャリー・ウェポン)として好んで携帯する場合が多く、 女性でも気軽に携帯できることから民間市場においても護身用拳銃として人気がある。 我が国では老朽化したニューナンブM60の後継機種としてM37が制式採用され、2003年に5,344挺のM37が警察庁に納入されたのを皮切りに、 各都道府県警察においてM37が大量導入されており、順次更新が進んでいる。 なお、日本警察仕様のM37には、管理番号の刻印と脱落防止用の吊り紐を装着するための吊環が追加装備されているのが特徴だ。 銃身と弾倉など耐久性が求められる部品には通常の回転式拳銃と同じくスチール鋼材が用いられているが、 軽量性を最優先したアルミニウムフレームの耐久性は剛性の高いスチールフレームやステンレスフレームに比較すると必然的に劣り、 M37は長期間の運用によってフレームにクラック(ヒビ割れ)が入るなどの問題も報告されている。 その後、ニューナンブM60及びM37の後継機種として同社のM360(エア・ライト.357マグナム)の日本警察仕様であるM360J(通称“サクラ”)が制式採用され、 2005年に5,519挺のM360Jが警察庁へ納入されているが、フレームにクラックの発生する同種の問題はM360Jでも発生しており、警察庁が全国の都道府県警察に一斉点検を指示し、 問題の見つかった大量のM360Jを回収している。


当部隊において小型軽量で携帯性に優れたM37は、秘匿性の優先される私服での警戒警護任務などにおいてCCW(コンシールド・キャリー・ウェポン)として主に運用されるほか、 予備用のバックアップガンとしても使用する場合がある。 以前から運用してきたニューナンブM60と順次更新中である。

諸元・性能
種類 回転式拳銃
型式 M37
弾薬口径 .38 Special
装弾数 5発
全長 160mm
重量 420g
生産国 日本

JP-SWAT

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