個人装備には、出動服やタクティカル・ベスト、ブーツやグローブといった各種被服類(ユニフォーム)、ボディー・アーマーや ヘルメット、ゴーグルなどの各種防具類(プロテェクティブ・ギア)、ベルトキットやホルスターなどの各種弾帯類 (デューティー・ギア)が含まれます。 特殊部隊として装備を統一するため、メンバー個々人が着用可能な個人装備の種類やセットアップは、 全て一定のドレスコードによって規定・制限されています。 本項では制式採用されている個人装備の一部を紹介します。
米国の大手タクティカル・アパレル・メーカーである5.11(ファイブ・イレブン)社製のHRTシリーズ“HRTシャツ”と“HRTパンツ”。 5.11が製造するタクティカル・ウェアは、米国の軍・警察・政府機関にて、認定トレーニングウェアや認定ユニフォームとして 20年以上もの間採用されており、世界各国のタクティカル・ユーザーにも愛用されている。 品名に冠された“HRT”とは、米国のFBI(連邦捜査局)が誇る対テロ特殊部隊“Hostage Rescue Team:人質救出部隊の略称である。 市警察や州警察が保有する警察SWATの装備や練度では、対処が難しい凶悪犯罪やテロリズムに対処するのがHRTの役割だ。 その部隊名に標榜されるように、主に籠城事件などの人質救出作戦への対処を得意とするが、国境を越えた軍事作戦 にも極秘裏に参加することもあり、準軍事組織的な性格も強い。 テロリストの殲滅を至上命令として行動する軍隊の対テロ特殊部隊とは異なり、他の警察SWATと同様に 「犯人を生きたまま捕える」ことを原則とし、警察系特殊部隊としては世界最高レベルの装備と練度を備えている。 この警察対テロ特殊部隊として最高の装備を要求する“FBI HRT”の名を冠して開発されたタクティカル・ウェアが 5.11 Tactical HRTシリーズである。
なかでもHRTシャツとHRTパンツは、対テロ特殊部隊が得意とする閉所空間における近接戦闘(CQB)や市街地戦闘での
着用に特化した最強のタクティカル・ウェアを基本コンセプトとしてデザインされた。
素材は着心地と耐久性に優れた100%コットンのリップ・ストップ生地を採用し、ボディーアーマーなどで保護されない
下半身のバイタルゾーンにあたる生地の裏側には、最新の難燃性素材であるARMORTEXと強靭なケブラー繊維が
インサートされている。
また、シャツとパンツともに外見上の最大の特徴としては、独自のエルボーパッドとニーパッドが標準装備
されている点にある。
摩擦力に優れる軟質ラバー製のパッド部分には、難燃性素材であるARMORTEXがインサートされ、さらに取り外し可能
なネオプレーン製パッドを内装することで、瓦礫の上などでも肘や膝に加わる衝撃を吸収することができる。
従来の一般的なタクティカル・ウェアには、このような標準装備のパッドは装備されておらず、別途専用のパッドを
装着する必要があった。
しかし、パッドを標準装備したHRTシャツとパンツは、このパッド装着の手間やタイムロスを省くことができ、また後付けの
専用パッドのように、装着後のパッドの位置ズレや不意の脱落の心配をする必要がない。
細部のデザインにもタクティカル・オペレーターのニーズに応じた工夫が随所に反映されている。
シャツの襟部分は、必要に応じてベルクロで立襟にすることができ、素肌の露出を防ぐことが可能だ。
また、同様にシャツの袖やパンツの裾もベルクロ式のクローザーが備えられており、グローブや
ブーツを装着した際に隙間を密閉させることで、ガラス片などの異物浸入を防ぐことができる。
シャツには一般的な胸ポケットに加え、胸ポケット部分にペンポケット、左袖にはチャームライトポケット、
胸部の左右には令状や地図などの各種書類を収納できるドキュメントポケットを備えており、ポリス
オフィサーの必携装備を効率よく収納可能だ。
パンツに備えられたベルクロ付き大型スラッシュ・リアポケットは、空マガジンなどを収納するダンプポーチ
としても使用可能で、ポケットの淵の一部は、ユーティリティ・ナイフなどのクリップ式の小型ナイフを
装着可能なように生地が補強されている。
さらに、パンツ両側に備えられたベルクロ開閉式サイドポケットには、同社がコンシールド・キャリー(秘匿携帯)
任務向けにラインナップする専用ホルスターやマガジンポーチ、カフポーチなどを装着可能なBBS(Backup Belt System)
プラットフォームが装備されており、これらのデューティーギアをポケットの中に内蔵可能だ。
▲人質救出作戦や市街地戦闘を問わず、あらゆる状況のCQB任務で使い勝手の良い5.11社製のHRTシャツとHRTパンツは、 当部隊で最も着用率の高い出動服のひとつである。 通常任務で使用可能な標準指定カラーは、DN(ダーク・ネービー)のみ。なお、部隊章は右腕上腕部に装着顕示する。
米国の大手タクティカル・アパレル・メーカーである5.11(ファイブ・イレブン)社製の“TDU Jumpsuit”。
同社のTDU(Tactical Dress Uniform)シリーズは、主にポリスオフィサーを始めとしたローエンフォーサー(法執行関係者)
向けにデザインされたタクティカル・ユニフォームである。
シャツやパンツなど、通常のパロトロール・ユニフォームとしての軽便性や快適性に加え、
現代のタクティカル・ユースに要求される実戦時の実用性を両立したシリーズだ。
なかでもTDUジャンプスーツは、カバーオール(つなぎ)タイプの被服を好む警察SWATやK-9(警察犬)ハンドラーなど
の各種タクティカル・オフィサー向けにデザインされたCQB(近接戦闘)タクティカル・ジャンプスーツである。
素材には着心地と軽量性に優れたポリエステルとコットンのツイル生地を採用し、全ての加重箇所には
耐久性を高めるためトリプルステッチ縫製を取り入れている。
メッシュライナーに加え、背面には通気用のベンチレィテッド・スリットが備えられており、
長時間の着用においても不快な蒸れを防ぐ。
フロント部分には、信頼性の高いYKK製ジッパー仕様のクローザーが装備されており、迅速かつ確実な着脱が可能。
火炎などから首筋を保護するフラッシュ・プロテクションの役割をもつ襟部のマンダリン・カラーは、
ベルクロ・ファスナーでの開閉により、オペレーション向けの立襟状態とパトロール向けの開襟状態にできる
2ウェイ仕様だ。
また、同様に袖や裾にもベルクロ式のクローザーが備えられており、グローブやブーツを装着した際に
隙間を密閉させることで、ガラス片などの異物浸入を防ぐことができる。
伸縮素材がインサートされたウエスト部分には、ベルト・キーパー・ループが備えられており、
デューティー・ベルトなどの各種ベルト・キットを確実に保持することが可能。
通常のパンツポケットに加え、太股側面にはベルクロ開閉式の大型のカーゴポケットが装備されており、
空マガジンなどを収納するための簡易的なダンプポーチとしても使用できる。
さらに、このカーゴポケットには、同社がコンシールド・キャリー(秘匿携帯)任務向けにラインナップする
専用ホルスターやマガジンポーチ、カフポーチなどを装着可能なBBS(Backup Belt System)プラットフォーム
が装備されており、これらのデューティーギアをポケットの中に内蔵可能だ。
また、胸部にはペンポケット装備の胸ポケットのほか、胸部内側に令状や地図などの書類を収納するための
ドキュメントポケットが備えられている。
エルボー(肘)とニー(膝)部分には、取り外し可能で軽量なネオプレーン素材のソフトパッドが
装備されており、コンバット・シチュエーションにおいて関節部分への負担を軽減できる。
米国の大手総合タクティカルギアメーカーとして有名な“EAGLE INDUSTRIES”が 製造・販売するタクティカルベスト “TAC-V1-N-A”。 イーグルの看板商品とも言える“TAC-V1”ベストシリーズは、軽量で通気性に 優れ、堅牢な コーデュラナイロン製メッシュタイプの多機能・汎用タクティカルベストシステムであり、機能性重視の シンプル な本体デザインながら、ライフルクラスのマガジンポーチをフロント両腹部に 6つ備え、COLT M16アサルトライフル 準拠(5.56mm×45)の30発マガジンサイズなら計6本 (計12本の携行も可能)、H&K MP5サブマシンガン準拠 (9mm×19)の30発マガジンサイズなら 計12本(計24本の携行も可能)、その他にH&K G3などの30口径準拠 (7.62mm×51)の大型マガジンサイズを計6本、 携行装備することが可能であるなど、実戦に即した弾薬携行機能 を有している。 また、戦闘に直接必要とされる弾薬携行機能の他にも、ファーストエイド(応急処置)キット を収納するファーストエイドポーチ、ハンドガンのマガジンやフラッシュライト、 目標拘束に用いるハンドカフ などを収納するユーティリティポーチ、ショットガンの 運用を考慮したショットシェルポーチ、地図などを 携行するための大型ポケットをベストの フロント内面に備えるなど、現代の標準的な特殊作戦に必要とされる 必要機能を効率的に 集約している。 さらに、ベスト背面には被弾した死傷者などを迅速に救助するために 用いるドラッグハンドルに加え、 ALICE(多目的軽量個人装備)クリップに対応したアタッチメント・ウェビング が3本施されて おり、画像のようにラジオポーチやガスマスクポーチなど、各種オプションポーチを作戦行動 の内容に従い任意に装着・運用することが可能だ。 画像の“TAC-V1-N-A”ベストは、同社のモデル“TAC-V1-N” ベストの発展改良型で、 本体の基本デザインは完全に踏襲しながら、ライフルストックの当てつけ位置に ノンスリップ ショルダーパッドとリテンションガイド、前面ポーチ部分と背面ウェビング部分に 所属部隊パッチ や“POLICE・SWAT”パッチなどを顕示装着するためのベルクロパネルを 標準装備するなど、昨今の対テロ特殊部隊 や警察系特殊部隊のニーズに従った実戦的な 改良が施されているのが特徴だ。 以上、同社の“TAC-V1”ベストシリーズが有する優れた基本性能は、対テロ特殊部隊 や警察SWATが得意とする 市街地戦闘や閉所空間における近接戦闘(CQB)などの比較的短期的 な強襲作戦から、緻密な軍事作戦に不可欠 な長距離偵察や威力偵察、定期パトロール任務など の比較的長期におよぶ付帯的作戦まで幅広い作戦行動に 対応しており、着用状況や着用者を 選ばない秀逸たる機能性と汎用性の高さによって、タクティカルベストの スタンダード デザインとしての地位を不動のものにした。以降、同社ベストの基本デザインを踏襲した 類似製品が他のタクティカルギアメーカーによって多数製造さていることからも、その実戦に即した 戦術的優越性の高さを垣間見ることができる。 現在、同社の“TAC-V1”ベストシリーズは、付属ポーチの配列や本体カラーの相違などによって画像のモデル “TAC-V1-N-A”ベストを含む、様々な派生型が製作されており、 世界各国の軍隊や司法機関を始めとした 準軍事組織の対テロ特殊部隊や警察SWAT、また PMC(民間軍事会社)や警備会社に代表される民間機関など、 TAC-V1”ベストシリーズは その属性を問わず幅広いタクティカルユーザーに使用されている。 我が国においても、警察の隷下にある銃器対策部隊や対テロ特殊部隊であるSAT:Special Assault Team (特殊急襲部隊)、対ゲリラコマンドを主眼とした各種自衛隊の市街地戦闘訓練などで同社の“TAC-V1” ベストシリーズ、もしくは類似デザインのタクティカルベストの着用が 確認されている。
米国の大手プロテクトギアメーカー“HATCH(ハッチ)”社製 の“オペレーターグローブ”。 オペレーターグローブはHATCHが製造する代表的なタクティカルグローブシリーズのひとつであり、 屋内や市街地など 閉所空間における近接戦闘(CQB)を主要な任務とし、死の危険に直面する機会 の多いSWATの要望に応えて新開発 されたアサルトミッション(強襲作戦)用グローブだ。 一般的なグローブよりも延長された手首部分は突入時に飛散するガラス断片など袖口からの異物侵入を防ぎ、 レザー(皮革)を用いた一般的なグローブに比較し、2倍以上の耐切創性を誇るアラミド繊維ケブラーを採用 した本体は、ガラス断片などの鋭利物に対して4度のカットテスト耐えるほか、摂氏427度の高温に耐える 耐燃性を有している。 また、耐摩擦性と防刃性に優れるカンガルーの皮革を採用したパーム(掌)部分には、 特殊な滑り止め加工である“Posi-Grip”が施され、武器や道具の使用に際して手の動きを妨げない。 さらに、ライフルやハンドガンなどのグリップ基部が当たる部分は厚手のレザーで補強され、ナックル部分 にも クッションパッド入りレザーが施されているほか、グローブ着用時には得られない微妙なトリガー フィーリングを要求するユーザーのために、人差し指部分は任意にカットしても解れないステッチ加工の 施されたカットリング が備わっている。これらCQBに対応した必要機能を備えるオペレーターグローブは、 爆発時に高温を発するスタングレネード、戸口破壊に用いる高性能プラスチック爆薬などを使用する ルームエントリー(屋内突入)作戦おいて、理想的 なタクティカルグローブとしての性能を有している。 現在、オペレーターグローブは米国SWATを始めとして世界各国の軍・警察・PMC(民間軍事会社)所属の 各種タクティカルユーザーに使用されている。
▲フライヤーズグローブはベトナム戦争中にアメリカ空軍において支給が開始された耐炎性グローブであり、 主に戦闘機やヘリコプターに搭乗するエアクルーの着用を目的としている。 グローブ本体は比較的薄手のノーメックス生地で縫製され、手首から五指にかけての パーム(掌)部分には グリップ性能に優れたレザー素材が用いられているため、従来の一般的なグローブに比較して計器操作など の繊細な作業も可能だ。本来、フライヤーズグローブは先述したようにエアクルー向けに開発されたグローブだが、 その使い勝手の良さから米軍の特殊部隊員などにも積極的に多用されるようになり、さらに米軍の余剰装備を 転用する機会の多い米国警察のSWATチームでもフライヤーズグローブの着用が頻繁に見受けられるようになった。 現在ではセージグリーンやブラックの基本カラーの他にデザートタンなどのカラーバリエーションが加わっている。 また、米軍の官給装備であるフライヤーズグローブの基本デザインを元にして 幾つかのタクティカルギアメーカー から類似した製品が販売されている。 フライヤーズグローブの縫製素材に用いられているノーメックス(Nomex)は米国の大手化学メーカーとして 有名なデュポン社が開発した耐熱・耐炎性に優れたメタ系アラミド繊維であり、摂氏260度の高温環境の空気中 においての1,000時間に及ぶ暴露でも65%の強度保持率を誇る他、熱伝導率の低い自己消火性に加えて、直接火炎 に晒されても繊維自体が融解せず炭化するだけで化学変化を起こさないため、化学繊維特有の有毒ガスも発生しない。 さらに耐薬品性や高保湿性、電気絶縁性、機械強度、繊維耐久性に優れるなど、特殊繊維生地として特筆すべき 様々な特徴と性能を有している。これらの特性から、その利点を活かした民生製品への利用は無論、 ミリタリーユースにおいてもフライトスーツやフライトグローブを始めとして、主に航空・車両搭乗要員の 耐炎・耐熱防護を想定した個人装具に用いられる場合が多かったが、人質救出作戦に代表される対テロ作戦行動 に重きが置かれ、市街地戦闘や閉所空間における近接戦闘(CQB)任務 などの増加が著しい昨今に至っては、 ルームエントリー(室内突入)に特化したアサルトスーツやグローブ、頭部保護を目的としたフード (フェイスマスク)など、短期的な対テロ 特殊作戦に従事する特殊部隊向けの個人装具に利用されることも多くなった。 以上の装備は何れも屋内強襲作戦の一種であるダイナミックエントリーに際して、爆発時に 高音を発する スタングレネード(特殊音響閃光手榴弾)や戸口破壊に利用する高性能 プラスチック爆薬、極至近距離の 銃撃におけるマズルフラッシュ(発砲火炎)などからの 耐熱・耐炎防護、また突入に伴って飛散するガラス断片 などの鋭利物からの身体保護を目的 としており、この種の作戦を担う特殊作戦部隊には、これら各種 プロテクションギアは 必要不可欠な個人装備だ。
米国の大手総合タクティカルギアメーカーとして有名な“EAGLE INDUSTRIES”が 製造・販売する
“SAS(Special Application Security)”タクティカルホルスターシリーズ。
1970年代までホルスターに使用される素材は牛革などの皮革の使用が一般的だったが、コーデュラナイロンを
始めとした耐久性や撥水性に優れるバリスティック・ナイロン繊維の普及により、1980年代よりホルスター
を始めとした各種タクティカルギアにも本格的に高品質ナイロン繊維が多用されるようにった。
このバリスティック・ナイロン素材の特徴に注目し、逸早くタクティカルギアの製作に応用したのがイーグル社である。
イーグルが製作したSASタクティカルホルスターシリーズは、現代のナイロン製タクティカルホルスターの
代表的存在だ。
SASシリーズは、警察SWATや軍特殊部隊などでの使用を想定しており、シリーズ共通で脚の太股部分にホルスターを
固定するサイ(レッグ)ホルスター形式を採用している。
ホルスター本体を中心に、ホルスター本体をデューティーベルトに吊るすためのベルトハンガー、太股に
ホルスター本体を固定するためのレッグストラップの3つのコンポーネントから構成されている。
ベルトハンガーは、ベルクロファスナーにより任意に全長のサイズ調整が可能で、ホルスターの着用者を選ばない。
レッグストラップは、適度な伸縮性をもつダブルレイヤー仕様のエラスティックバンドと、
摩擦力に優れる滑り止めラバーが縫製されたラバートラックウェビングの2つで構成されており、
ホルスター装着時の安定性と快適性を高めている。
また、レッグストラップには、ファステックス(樹脂製バックル)が装備されており、迅速な着脱が可能だ。
ホルスター本体は、耐久性に優れた硬質のバリスティックナイロンで縫製されており、1kg近い実銃の重量
を確実にホールドする。
ホルスターのロックシステムには、スタンダードなサム・ブレイク方式を採用しており、親指ひとつで瞬時に
ロックを解除することができ、素早いドロウイング(ホルスターから銃を抜き、照準、射撃に至るまでの一連の動作)
が可能だ。
また、素早いドロウイングが要求されるハイリスク環境以外では、銃の脱落防止のほか、予期せず敵や犯罪者に
銃を奪われないように、サム・ブレイク・システムを保護するセーフティーストラップも標準装備されている。
ホルスター本体前面には、スペアマガジンを収納するためのフラップ付きマガジンポーチも標準装備されており、
フォールディングナイフやタクティカルフラッシュライトなどの小物類も収納可能だ。
現在SASシリーズには“Mk III”、“Mk V”、“Mk VI”の3種類がラインナップされており、これらの基本モデルを
中心に空挺仕様モデルやライトモジュール対応モデルなどの各種派生モデルが存在している。
00年代以降、特殊部隊向けタクティカルホルスターの分野でもカイデック製スホルスターなどの硬質樹脂製
ホルスターが主流となり、ナイロン製ホルスターの需要は低下している。
しかし、カイデックスなどの硬質樹脂より全体重量が軽量で機動性に優れること、同系統のデザインの銃であれば
型式の異なる銃でも収納可能な汎用性があること、比較的単価が安いことなど、硬質樹脂製ホルスターにはないメリットも多く、
現在でもSASシリーズを始めとしたナイロン製ホルスターを積極採用するタクティカルユーザーも多い。
我が国でも警視庁SAT(特殊急襲部隊)や自衛隊の市街地戦闘訓練などで、同社のSASシリーズや類似品のナイロン製
ホルスターの使用が確認されている。